第13回ナショナル・デー(デルグ政権打倒記念日)記念スピーチ

13年に及ぶエチオピアの“平和”、“民主主義”そして“発展”について

コアング・トゥトゥラム・ドゥング(Dr.)駐日全権大使

コアング・トゥトゥラム・ドゥング(Dr.)大使

コアング・トゥトゥラム・
ドゥング(Dr.)大使

5月28日はエチオピアの歴史そして国民にとって、最も大切な記念すべき日です。それは17年間国民を苦しめた軍事独裁政権が終焉した日であり、“平和”、“民主主義”そして“発展”を目指し行進を開始した日です。このように5月28日は、エチオピア国民の尊厳と期待が込められた日なのです。
全体主義や統制経済から、複合社会を認める民主主義や自由市場形態への移行過程では、世界の多くの地域で社会的混乱が見られます。しかしエチオピアでは、国民そして政府の英知と善意により、体制移行は順調にそして平和裏に進められてきました。この成果はまた、日本のような友好国の支援に因るものでもあります。私はこの場をお借りし、天皇・皇后両陛下、皇室の皆様、そして政府および国民の全ての皆様に、また日本在住のエチオピア国民に、ご挨拶させていただきたいと思います。

日本はエチオピアの開発にとって最も大切なパートナーです。日本の民間および政府が提供している食糧安全や健康、また教育やインフラ等の各分野にわたる支援に対して、エチオピア国民および政府を代表し、そして私個人としてここに衷心より御礼申し上げます。

エチオピアと日本の交流は、アフリカのサブ・サハラ諸国の中で最も早く開始されました。それは国際連盟が消滅し、エチオピア以外のサブ・サハラ諸国はヨーロッパに植民地化された時代に遡ります。その後両国関係は更に深まり今日に至っておりますが、特に日本が1993年に開催した「アフリカ開発の為の国際会議(TICAD)」は、両国関係をさらに発展させる要因となりました。

エチオピアのメレス・ゼナウィ首相と小泉首相

エチオピアのメレス・ゼナウィ首相と小泉首相

昨年の“第三回TICADサミット会議”は東京で開催され、過去最高の23人の国家元首が参加し、エチオピアのメレス・ゼナウィ首相も三度目の来日をいたしました。滞在中は小泉首相はじめAU議員連盟会長の森喜郎氏、その他多くの関係者の皆様とお会いする機会を得ましたが、これらの対話や交流が80年以上におよぶ両国間関係を一層強固なものにしております。

エチオピア政府にとっての最優先課題の一つは、人口7,200万人の半数以上が苦しんでいる、貧困の緩和です。そのため政府は、国民の大半が依存している農業分野を中心とする新戦略を考案し、さらに日本を含む国際社会で広く認識され、また高く評価されている「持続可能な開発と貧困削減計画(Sustainable Development and Poverty Reduction Paper (SDPPP)」を作成しました。これに加えエチオピアへの支援者連合や国際社会は、食糧の自給自足を3年から5年以内で可能とするプロジェクトを、昨年開始しました。これら戦略やプロジェクトに加え、1994年から進められている幅広い経済改革とが功を奏し、年6.4%の経済成長率を遂げています。インフレ率は4%を維持し、外貨も安定したレベルを保っています。

能力開発も政府が取り組んでいる最優先課題の一つです。連邦政府は今後3年間の教育セクターの開発資金として、20億USドルを充てています。過去数年間政府が実施してきた政策は、すでに実を結び始めているのです。初等教育の費用負担は2倍に増額され、高等教育への入学者数は3倍に達しています。ただしこの数値は既に高等教育の20%の進学率を持つ私立学校を除いたものです。

道路セクターも重要課題の一つで、新たな道路建設や古い道路の補修工事は国家予算の大きな部分を占めています。第一段階工事は終了し、今後3年間に予定されている第二段階工事の予算として20.1億USドルが計上されています。

日本は道路セクターにおいても積極的な支援パートナー国です。国土の中心地点から北方に伸びる主要幹線の補修を手がける第一段階工事は、日本のODAにより既に着手されています。ブルー・ナイルに架かる橋梁工事を含む第二段階工事も、間もなく着工される運びです。日本は道路セクターにおける事業や技術能力を強化するプロジェクトにも協力しています。国家開発が大きく進められている現在、エチオピア政府そして国民は、これら日本の惜しみない支援を忘れてはならないのです。

持続可能な開発において、行政機関が決定的な役割を担うとの認識を新たにするという点で、政府は一層広範囲なそして徹底的な変革を開始しています。これらの変革は、つまり行政機関が効果的で透明性の高い業務を提供できるかに拠るものです。残念ならが達成までは程遠い段階ですが、国民や投資家の信頼は既に得ています。エチオピアは、効果的で透明性の高い信頼出来る行政機関を備え得る、アフリカ大陸で数少ない国の一つなのです。

安定および安全は国家の最も重要な財産の一つです。エチオピアは多様な宗教や民族そして言語などを包含する、9つの自治州からなる大国ですが、政治や経済をとりまく環境は安定しており、犯罪や社会的混乱などは殆ど見られません。米国の“ヘリテージ・ファウンデーション”が出版している“2004年エコノミック・フリーダム・インデックス”には、「エチオピアは世界のビジネス環境で第2位に浮上した。」と記されています。最近のエチオピアを知るビジネス関係者は、この事実を見逃すことは出来ません。

政府はエチオピアの安定および安全問題は、地域間および地域と大陸全体との相互関係に拠るものであると信じています。一国の混乱や暴力的状況は、その隣国にとっての脅威だけではなく、“アフリカ開発の為の新しいパートナーシップ(New Partnership for Africa Development (NEPAD)”の下では、大陸全体の経済統合に与える脅威となります。この見地からエチオピアは隣国のソマリアやスーダン、そして湖水地域の平和実現に積極的に関わっています。エチオピアの軍隊はリベリアやブルンディでの平和維持活動に貢献していますし、“アフリカ大陸の角”地域における国際的なテロ活動に対する戦いを支援しています。

恐らく、エチオピアとエリトリアの国境制定に関する交渉の行き詰まり状態から、国家の安定性に疑問を抱かれる方もおられるでしょう。しかし友人の皆様に明確に理解していただきたい点は、この問題に関して、エチオピアは平和的また合法的な解決を決定した事です。そのため国連アナン事務総長の特別全権公使であるロイド・アクスウォーシー氏(Mr. Lloyd Axworthy)やAUの調停案を受け容れました。相手国も対話を至急開始するよう期待します。それこそが困難を乗越える唯一の道であり、その他の方策は両国家そして両国民にとって有益となるものではないのです。

政治の分野では、軍事政権打倒後三回目となる総選挙を、一年以内に迎えようとしています。数多くの野党の参加が目立つでしょうし、その中にはつい最近まで海外で活動していた、野党勢力も参加するようです。この事実こそ民主主義が確実に定着している証左です。

エチオピアの改革は「その迅速さから国際的な認識を得ている。」というのは、決して言い過ぎではありません。世界銀行(WB)や国際通貨基金(IMF)主導で、高負債額を抱える貧困国(Highly Indebted Poor Countries (HIPC))について合意された後、エチオピアの33億USドルに相当する負債の無効が先月認められました。これらの資金は経済成長や開発に充てられます。これは明らかに、エチオピアの経済および社会改革に対する、国際社会の認識が増していることを反映しています。

1991年5月28日、軍事独裁政権が崩壊してより、エチオピアは長い道のりを歩んできました。“平和”、“民主主義”そして“発展”を目指す行進は、安定性と確実性を増しつつあります。国民そして政府は、改革を最後まで断行するべく、今まで嘗てない取組みをしています。国際社会の負債免除はじめ直接的な財政、物資、技術援助などに勇気をいただいています。エチオピアは過去の栄光を取り戻し、エチオピアが国際社会で位置すべき本来の場へ浮上する準備は整っています。ありがとうございました。

自見庄三郎氏 日本-エチオピア友好議員連盟会長 日本―アフリカ連合友好議員連盟副会長

自見庄三郎 日本-エチオピア友好議員連盟会長 日本―アフリカ連合友好議員連盟副会長

自見庄三郎
日本-エチオピア友好議員連盟会長
日本-アフリカ連合友好議員連盟副会長

日本-エチオピア友好議員連盟会長として、エチオピア連邦民主共和国の第13回ナショナルデーに際し心からの祝意を表します。

昨年は日本・エチオピア関係にとって歴史的な足跡を刻む年となりました。エチオピアのメレス・ゼナウィ首相が、第三回アフリカ開発会議(TICADIII)に出席するため、三度目の訪日を果たされたのです。メレス首相は日本滞在中に小泉首相と会談されましたが、会談では有意義な議論が行われました。また、国際協力機構(JICA)の緒方理事長が最近エチオピアを訪問し、ギルマ・ウォルデギォルギス大統領と会談されました。このようなハイレベルの相互訪問、また草の根レベルでの交流の増加は、エチオピアと日本の友好関係が順調に育まれていることを示すものでもあります。

私はエチオピア政府が食糧安全保障を含む経済・社会改革に取り組み、より民主的な社会を達成しようと努力していることに対し、尊敬の念を持つものであります。これらの努力が実を結び、エチオピア国民に幸福と繁栄をもたらすことを真摯に望んでおります。

私は日本・エチオピア友好議員連盟の会長として、また日本・アフリカ連合(AU)友好議員連盟の副会長として、日本・エチオピア間の既存の友好関係および協力を、さらに強固なものにするよう努力する所存であります。

吉澤欽一氏  日本エチオピア協会会長

吉澤欽一氏 日本エチオピア協会会長

吉澤欽一氏
日本エチオピア協会会長

第13回民主主義奪還記念日にあたり、日本エチオピア協会を代表し、エチオピア政府そして国民の皆様に謹んでお祝い申し上げます。

30年以上にわたり、日本エチオピア協会は両国の友好と善意とを推進する架け橋の役割を果たしてきました。昨年の活動について少し触れさせていただきます。昨年は協会のエチオピア支部が開設され、魅力的なエチオピア民族舞踊団の来日、および日本の各都市での公演が実現しました。また毎年恒例の楽しい“エチオピアン・ナイト”も開催いたしました。さらに昨年9月にメレス・ゼナウィ首相がTICADIII出席のため来日された際に、朝食会を開き、首相の来日を真心で歓迎し、二国間関係をさらに強固にするための意見交換等、有意義な一時が持たれました。

私共の支援は、主にエチオピアの大学生への奨学金の提供や、子供達の絵画交換、そしてエチオピアに関係するNGOやNPO、また会員の方々の活動を伝える会報の作成等が挙げられます。観光部門では、本年初頭に26名の会員がエチオピアを初めて訪問しました。この様に日本とエチオピアの友好関係が更に拡大するよう共に協力し支え合って参ります。

このおめでたい日に寄せて、エチオピアの更なる繁栄と安定とが実現するよう、衷心よりお祈り申し上げます。

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